2007年12月のお勧め禅語
看却下(かんきゃっか)
同じ意味を成す言葉で「却下照顧」があります。
お寺の立て札によく見かけます。却下を見よ!足下に気をつけなさい、靴を揃えなさい、という意味で日常的な言葉として使われていますが、思わず言葉の奥に秘められた意味に、背筋を伸ばす力のある言葉です。
「天龍寺の峨山和尚が、師匠の滴水和尚の紹介状を持って、初めて東京に出て、鉄舟居士を訪ねた時、生憎書生がいなかったとみえて、鉄舟居士が自分で台所から鉄瓶を提げて出てきました。居士は紹介状を読むと、『上がれ』と言って、鉄瓶をそこへおいたまま、中へ入ってしまわれました。峨山和尚はその鉄瓶を提げてあとからついて行って、室の火鉢の上にその鉄瓶をかけてから挨拶をしました。
鉄舟居士がそれ以来、『峨山こそ禅僧らしい禅僧だ』と大いに峨山和尚を推奨されたという話があります。鉄瓶は玄関にあるべきものではない、火鉢の上にあるべきものであります。そのあるべきところに、そのものをあらしめることが、調えることであり、禅であります。」(臨済宗・黄檗宗公式サイト禅語より)
日本の今は暴走の世の中。目まぐるしく移り変わる時代の流れのなか、人々は皆いったいどこを目指して足早に時を消化しているのでしょう……。日々の生活に追われて、自分を見失っていないでしょうか?流行ものに皆が一斉に群がったり、何かに振り回されて浮き足だっているような気がします。
理想を高く素敵な夢を掲げることはとても良いことですが、その前に一時、足下に目を向けて、しっかり大地を踏みしめてみるのもよいかと思います。
そして、日本人としての在り様をもう一度静かに考えてみましょう。
大きくは我々地球人としても……。在るべき様も考える大事な時期でもあります。
「相撲取りは土俵に上がったら、すり足で取り組むのが原則だそうであります。能の舞は舞台をすり足で歩くのだそうであります。いつも大地を踏みしめて浮き足にならぬことが、日本民族の本来の姿であります。いかなる場合に臨んでも乱れない、よく調えられたる心、これを『禅定波羅密』名づけます。」
(臨済宗・黄檗宗公式サイト禅語より)
人の背中ばかりを追わず、何かに頼ってばかりでなく、自分自身の一歩一歩を丁寧にゆっくり踏みしめていくことが大切です。
まずは、自分の靴を揃えることから始めましょう。次への第一歩にきっと繋がります。
2007年も残り僅か、自分を顧みるいい時です。そして、2008年の第一歩を清清しく踏み出しましょう。
(*参考文献:ホットする禅語70web 臨済宗・黄檗宗公式サイト禅語
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