2007年5月のお勧め禅語
知足(ちそく)
足るを知ること。己の分際をわきまえ、むさぼりの心を起こさぬこと。(『禅林句集』)
「知足のものは貧しいといえども富めり、不知足のものは富めりといえども貧しい」という禅の教えがあります。
今の世の中、魅力的なものや情報が溢れています。否が応でも目にはいり、欲望は止め処も無く掻きたてられます。しかし、あれもこれも手に入れることで、果たして本当の楽しさ、幸せを心から感じることができるのでしょうか?
現状の暮らしのなかにもちょっとした幸せ、楽しみはたくさん潜んでいるはずです。それに気付き見出した時、何ともいえぬほのぼのとした幸福感が心に広がる。これこそ生きている真の喜びといえるかもしれません。この意味は、今の状況で我慢をして節約をし、小さな幸せで満足せよということではありません。
人は心のどこかに欲深く、人を羨み、妬み、物欲旺盛な思いを持ち合わせているものです。それが全開してしまうと心が乱れ不幸を招きかねません。物が豊かであればあるほど「知足」の心は薄れていきます。
今あるもの、できることのなかで積極的に真の楽しみを味わい豊かな心を養うことが大切なのです。内面が満ち足りていると人は生き生きと魅力的になり周囲の人々とのコミュニケーションも円滑になるものです。
お釈迦様の最後の説法『仏遺教経』のなかに「少欲知足」(欲をなくして足るを知る)という言葉があります。中国の思想家「老子」も「足るを知るものは富む」と説いています。茶道の基本理念「知足安分」もまさしく日本人の美しい心の持ちようであり、今を満足に思い心豊かな暮らしぶりを提唱しているといえるでしょう。
肩の力を抜いて自然体で日々を暮らしていると、今まで気付かなかった楽しみ、喜びがそこかしこから湧き出てくるにちがいありません。
いい景色、いい音、居心地のいい時間、いい人との出遭い!いいことばかりではないけれど、生きているからこそ、日々更新!!さあ、五感を磨いて自分なりの幸せを心にいっぱい取り込んでみてください。
(*参考文献:ホットする禅語70
、医療と内観 吉本博昭、Wikipedia)
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